2022年後半にエンジニアリング系でインプットした本については、『最近何をインプットしているか(しようとしているか)2022年後半編』という記事で振り返ってみたが、
個人的には本よりもpodcastのよさにハマった年だったように思う。
ぼくのようにスタートアップでCTO的な何か(開発責任者、エンジニアリングマネージャー、なんでもいいのだが)をやっていると、本よりももっと生の情報を欲しくなる時がある。
本はもちろん知識が体系的にまとまっていて好きなのだが、 ① Googleなどの大企業や、成功した超有名スタートアップの海外事例がほとんどで、自分たちには当てはめづらい、 ② まとまりすぎていて、生の苦しみや試行錯誤の後が見て取れない
などの不満がどうしても残る。
そんなこんなで、他のスタートアップの一次情報を得るためには、テックブログを読むというのが、これまで主流だったが、ここ数年でPodcastが一気に有用な媒体としての地位を確立したように思う。
ここでは、Podcastがオススメの理由や、具体的にオススメのPodcast番組を紹介したい。
Podcastがオススメな理由
Podcastが本やテックブログよりもオススメな理由は、一言で言ってしまえば、「生の(人間的な)情報量」の多さだろう。
本はもちろん、テックブログでさえ、文章になった途端に情報というのは鮮度を失ってしまう。
テキストコミュニケーションが難しいのと同様に、声の情報があるだけで、話しているその人が
どこで悩んでいるのか、
逆にどこでテンションが上がるのか、
などの情報量が一気に増える。
その結果、その人のある事柄についての捉え方をかなり推測しやすくなるということだろう。
声に自信がなさそうであれば、悩んでいるんだなと分かる。
「〇〇は好ましくない」と表現するのと、「〇〇ってクソですよね」と表現するのでは、話している人に取っての意味が全く異なるのは言うまでもない。
テキストでは、ある程度整った状態で出てきてしまうので、このような「生の(人間的な)情報量」が減ってしまうのだ。
また、発表を順番にやっていくようなイベントでも、あくまで整った情報が話されることが多いので、社内のメンバー同士であーでもない、こーでもないと話合っているのが聴けるPodcastは本当に貴重だ。
オススメPodcast番組
それでは早速テック系でオススメのPodcastを紹介していこう。
他社の事例やプロダクトチームの作り方を知る
LayerX NOW!
なによりもまずオススメしたいのが、LayerXのCTOの松本さんがメイン・モデレーターを務め、LayerXのエンジニアチームの今を語る番組『LayerX NOW!』だ。
基本的には、社内のメンバーを読んであれこれ質問してく形式で、今LayerXの各メンバーが取り組んでいることなどを深掘っていく。
たまに社外ゲストが参加されるときもあるが、このゲストがかなり豪華なのも面白さだ。
いま、他社のCTOの頭の中を知る上で、これ以上に一番ホットでかつ、一番勉強になる情報源はないのではないかというぐらいの濃さだ。
松本さんの話の整理の仕方があまりにも上手というだけではなく、各メンバーの優秀さが伝わってきて素晴らしい。
そして何よりも、音声コンテンツの醍醐味である彼らが「今考えていること」を知れるのが本当に面白い。
個人的に特に勉強になった回ベスト3もあげておく。
ぼく個人の視点で、その回をどう捉えたのかも記載する。
- #60 Enabling Teamが実現したい爆速開発とソフトウェアアーキテクチャの一歩先
- マイクロサービスの限界とマイクロサービス&モノレポをベースにした新アーキテクチャ(プロジェクトlayerone)について
- #17 どんな小さな決定にも説明責任を果たしてくれるLayerXのカルチャー
- 経営者の説明責任について、改めて自分のコミットの弱さを痛感させられた
- #8 ゼロトラストな考え方をベースにした社内基盤の作り方
- ゼロトラストなセキュリティモデルで会社を作るとは、会社をプロダクトとみなすこと
- 高度なコーポレートエンジニアリングで実現する滑らかなオンボーディングを作る=「社会と会社の境界をなくす」
ちなみに、今年一番感動したPodcast No.1が、#60 Enabling Teamが実現したい爆速開発とソフトウェアアーキテクチャの一歩先 だ。
10X.fm
2番目に紹介したいのが、こちらも言わずとしれた大注目のスタートアップの10Xさんのpodcast『10X.fm』だ。
LayerX NOW!と同じく、2022年12月現在で約60回を数える。
LayerX NOW!と比べると、エンジニアリング要素は弱めで、どちらかと言えば、プロダクト・組織寄りだ
時々出てくる、がっつりエンジニアリング回も楽しみにしてはいるが、BizDevが強く、複雑な顧客要求をプロダクトに落とし込むことが重要な10Xの組織創業力の強さを知ることができる。
こちらも、特に勉強になった回ベスト3もあげておこう。
- #48 SmartHR芹澤さんにプラットフォーム化の道のりを根掘り葉掘り聞いてみた
- SmartHR新CEOの芹澤さんゲスト回。SmartHRのエンジニアドリブンな開発文化があったからこそ、プラットフォーム化できた話
- #11 創りたいQA文化と求めるQAエンジニア(募集中!!)
- PharmaXでも、テスト・QAのあり方について考えを巡らせていている時に聞いてかなり勉強になった(テストやQAはこの回だけではなく、複数回取り上げられているが。)
- #20 公開収録「Dartの良さを語り尽くす!」
- 生々しい技術選定の話もさることながら、エンジニアの開発体験のためにここまでやるのか!という感覚がつかめて視座があがった
技術そのものを学ぶ
スタートアップの経営をエンジニア目線で学ぶのではなく、技術・マネジメントそのものを学ぶ上でもPodcastは、有用な情報源なのでオススメ番組を紹介しておく。
2018年から続けられているので、もはや紹介するまでもない気がするが、fukabori.fmは最新の技術トレンドやマネジメントを掴む上ではオススメ。
特定の技術分野の最先端の人を読んで、いろいろと語り合うPodcastだ。
出演されいている人たちがかなり豪華で、twitterでもよく知っている人たちの話が聴けるので、シンプルに面白い。
まとめ
冒頭に書いたように、自分にとっては、今年はPodcastの年だった。
来年以降、どこかのタイミングでぼくらも音声or動画コンテンツを発信していくつもりだ。
彼らと同じぐらいスタートアップ・コミュニティに有用な情報を発信できるように頑張りたい。