このあたりの記事が非常によかったので、感想を書きます。
上記のような素晴らしい記事が複数出てきており、 「開発生産性」についての議論が日本でもここ数年で一気に成熟してきたような気がしています。
開発の健全性についての議論が一旦の決着をみたと世界的に考えられるようになったのは、『LeanとDevOpsの科学[Accelerate] テクノロジーの戦略的活用が組織変革を加速する』が広く読まれるようになったタイミングだとは思います。
一方で、この『LeanとDevOpsの科学』でさえ、バックログがデリバリーされてビジネス的価値を生み出すまでの一部の指標を捉えたに過ぎず、「開発生産性」を議論する上での混乱した状況を収束させるには至っていませんでした。
(また、そもそも『LeanとDevOpsの科学』はピュアに「開発生産性」の指標ではなく、どちらかと言えば「開発健全性」の指標であり、開発生産性の議論にヒントは与えたものの、直接「開発生産性」の議論を決着させに行っているわけでもありません。)
なぜ「開発生産性」についての議論が混乱するのか?については、議論する際に生産性のレイヤーが揃っていないからだという広木さんの指摘は非常にわかりやすいなと感じました。
(『開発生産性について議論する前に知っておきたいこと』から引用)
また、レイヤーが揃ったとしても、生産性(アウトプット/インプット)を議論する際の、アウトプット・インプットに何を取るのかは考え得るパターンが非常に多く、そこも揃えなければイケないという指摘も至極全うだと思います。
PharmaXでは、下記のようにエンジニアチームの総合力からプロダクトが市場にローンチされて、価値を生み出すまでの過程を下記のように整理しています。
(この図だけだと情報量が多すぎて、意味不明なところも多い気はしますが、、、)
この整理と広木さんのおっしゃっているレイヤー・レベルの整理(一番下に追加しました)がぴったりあっているなと思っており、かなり腑に落ちたなと個人的には感じています。
その上で、議論する際には、どのレイヤー・レベルの議論をしているのかを揃えましょうというのが、広木さんの主張だと思いますし、このような認識が広まっていけばいいなと思ってます。
一番最初に参考記事として載せた2つ目の記事は、その中でも特にリードタイム的な早さについての記事です。
注意しなければならないのは、広木さんの整理でいうところの、「開発生産性」が高いからと言って、”開発が早い”とは限らないということです。
またややこしい話担ったなって感じですが(笑)、これまで話していたのは、どちらかと言えば、アウトプット=量や数についてで、リードタイムの議論は期間についてです。
この期間についての議論として、2つ目の記事では、人的な「リソース効率」を求めすぎると、逆に「フロー効率」は下がってしまうよという議論が展開されています。
(この2記事では、リードタイムを短くするということに価値の源泉をおいた効率性のことをフロー効率性と言っています。)
このあたりも、まさにぼくらエンジニアの感じていることをきれいに言語化してくれており、本当に頭の中がいい感じに整理されたなと感じています。
まとめ
以上が2つの記事を読んでの感想とPharmaXで行っている議論のまとめになります。
冒頭にも言ったとおりですが、開発生産性の話はある程度成熟してきた感があります。
世間的には的を射た議論は十分なされているかなと思っていて、後はちゃんとこれらの考え方が広まり、各組織が認識を揃えられるかどうかという段階に来ている気がします。